「肌が弱酸性だから弱アルカリ性の洗顔料じゃない方がいい」ってホント?

弱酸性の方がいいの?という疑問

「弱酸性だから肌にやさしい」という宣伝がよくされることから,「弱酸性が肌に優しい」「弱アルカリ性は肌によくない」というイメージを持ってしまいがちです。
また,通常の素肌は,弱酸性ですから,素肌と同じ弱酸性のものが良いのではという考えも持ってしまうかも知れません。

固形石鹸は,普通水に溶かせば弱アルカリ性になります。
では,弱アルカリ性になる固形石鹸で洗顔をしても大丈夫なのでしょうか?

皮膚のアルカリ中和能のチカラ

 結論からいえば,弱アルカリ性の固形石鹸で洗顔をしても問題はありません。
 たとえば,元東北大学教授安田利顕先生著,東邦大学客員教授漆修先生改訂の「美容のヒフ科学」(南山堂,2010,9版)は,石鹸が皮膚に害があるという考えがまちがっていると明確に述べ(同書40頁),次のとおり指摘しています(同書141頁)。

石鹸は水に溶けてアルカリ性になるので,アルカリ性に弱い皮膚に害があると簡単にいっている人が多い.石鹸は水にとけているときは,アルカリ石鹸になっている.しかし,これは皮膚にふれても害はない.微量のアルカリが遊離するが,皮膚表面にはアルカリ中和能があって,ふれただけで簡単に害を引き起こすものではない.

私たちの皮膚には,アルカリ性のものがくっついて一時的にアルカリ性に傾いた場合でも,これを弱酸性に戻すチカラ(皮膚のアルカリ中和能)があります。
ですから,肌が弱酸性だからといって,洗浄剤まで弱酸性にこだわる必要はないということですね。

重要なのは「洗い方」

弱アルカリ性の石鹸で洗顔をするのは問題ありませんが,気を付けないといけないのは,洗い方です。
皮膚をこするようにして洗ってしまうと素肌に傷がついてしまいます。また,石鹸成分のすすぎ残しがある場合,これが皮膚に対して悪影響を及ぼすとされていますので,丁寧なすすぎが大切です。
弱酸性か弱アルカリ性かで悩むのではなくて,「洗い方」に気を付けるのが【正しいスキンケア】といえます。

和歌山県立医科大学皮膚科学教授古川福実先生編『Q&Aで学ぶ美容皮膚科ハンドブック』(メディカルレビュー社,2010年第1版,57頁)は,「皮膚洗浄とpH」のところで「皮膚へのダメージを少なくするには,洗浄料のpHよりも洗浄方法が非常に大切です。」と指摘しています。

まとめ

  1. 素肌が弱酸性だからといって弱アルカリ性の石鹸を避ける必要はありません。
  2. 「洗い方」に気を付けるのが正しいスキンケアです。

(公開日2013.1.6)(最終更新日2013.2.1)